2020年第4回定例会一般質問(11月26日)

1.尊厳ある障害者の自立した生活の実現に向けて

 

 これまで、障害を持つ方のサービス等利用計画作成のあり方について、相談支援専門員が作成する計画と同様に、障害者自身や家族、支援者などが作成するセルフプランの提出が可能であること、また「セルフプランは、障害者本人の力を引き出すエンパワーメントの観点から大切なものと認識している」という区の見解を確認して参りました。

 

ところが現場では区の見解とは違ったことが起きています。昨年11月、「もう少し相談が出来る支援者が欲しい」と話したセルフプランの障害者に対し、砧総合支所保健福祉課のケースワーカーが、利用者と初対面である相談支援専門員を伴い訪問し、その日のうちに計画相談の契約書に署名捺印、契約する一件がありました。後日、長年その方のセルフプランを作成している支援団体に対し、本人から「何が何だかわからなかったが、その場での押印を迫られたので、よくわからないまま、押印した」という訴えがあり、支援団体には無断で計画相談の契約が交わされた事実が明らかになりました。予算特別委員会で、セルフプランを軽視するような区ケースワーカーの対応があることを指摘し、「障害者ご本人の意向確認ができないまま相談支援専門員を同席させたり、計画作成の手続きを進めるようなことは、改めるべきと考える」との区の見解を得ています。結果的に契約は白紙撤回されましたが、それで解決されたわけではありません。これまでの話し合いでも現場ではこの問題の本質を理解しているのか疑問に思うような対応が続いています。

 

 障害福祉部として、セルフプランはサービス利用当事者のエンパワーメントにとって重要という認識を示しているにも関わらず、障害福祉の実践の場である各総合支所の保健福祉課には理解がされていない最たる出来事ではないでしょうか。これまでも「セルフプランはダメだ」と言われたという事例なども指摘してきましたが、砧総合支所で起きたことは、手続き上の問題だけではなく、世田谷区の障害福祉の現場における障害当事者の意思、権利、人権を踏みにじることであることから、区の認識を問うものです。なぜこのようなことが起きるのか、世田谷の障害福祉はどこに向かうのか、徹底した検証とともに改善に向けた取り組みを求めます。

(質問)本件をどのように認識するのか、2度と起こさないためにどのようにするのか、考えをお聞きします。

(答弁:中村副区長)

    障害者への相談援助や個別支援サービスの実施にあたっては、ご本人が望む生活の実現に向け、寄り添いながら支援を行なっていくことが重要です。

    この度の砧保健福祉センターの事例については、ご本人の障害特性等に配慮しながら意思決定を尊重し、関係機関とともに支援していく視点が不足していたことは反省すべきであり、ご本人には申し訳ありませんでした。

    今後に向けては、障害者の権利擁護や障害特性等に応じた意思決定支援のあり方などを改めて検討したうえ、見直しを図り実践をして参りたいと考えております。

 

また、現在、再発防止のために指針になるものを策定中と聞いていますが、何を重点と考えているのかお聞きします。

(質問)また、指針を作っただけでは意味はありません。その徹底が重要です。どのように徹底していく考えなのかお聞きします。

(答弁:片桐障害福祉部長)

    障害者総合支援法では、障害者等が障害福祉サービスの利用を希望する場合に、サービス等利用計画案を区市町村に提出する必要がありますが、区では、現在、計画案の提出を求める際に留意すべき事項について、改めて検討を始めているところです。

    内容としては、障害者の権利擁護を基本として、障害特性等に応じた意思決定支援、本人や支援機関が作成するセルフプランの意義、関係機関との連絡調整等を重点的に見直してまいる予定です。

今後、見直し内容を関係所管と共有し、総合支所保健福祉課ケースワーカーの力量向上のための研修や、セルフプランの支援に反映させたうえで、障害者の自立や生活の支援充実に取り組んでまいります。

 

9月に、世田谷区内で24時間の訪問介助を利用し一人暮らしをする重度身体障害者上田要さんの半生を書いた本『ひらけ!モトム』が出版されました。著者は、大学生の時に介助者だった現在大学院生の方です。例えば、地域で自立生活を送りながら、バスの乗車拒否撤回運動や北欧までノンステップバスの視察に出かけ導入運動を展開していく姿などがいきいきと書かれています。上田さんの運動によって導入されたノンステップバスは、障害者だけではなく多様な人々、私たちのバリアをなくしました。

「障害は社会がつくる」と言います。障害は医学モデルから社会モデルに転換し、障害者差別解消法で「合理的配慮」が義務づけられました。障害者が地域で生活するために個々のニーズに合わせた公的介護が保障されることは不可欠であり、権利です。

しかし世田谷区では、24時間のサービス給付があれば自分らしく自立した社会生活が送れる方に対し、申請以前に「もらえるわけがない」とケースワーカーなどが水際で止める給付抑制が起きています。また、以前も指摘しましたが、24時間支給決定には地域によって差があります。24時間介助が必要な障害者が区内に偏在していると考えるのか、それとも地域によって支給決定に偏りがあると考えるのか、私は後者だと感じます。

(質問)世田谷区は24時間介助が必要な方に対し、「合理的配慮」として徹底した生活保障をするために24時間支給を認めるべきです。地域間の偏りの是正を求めます。見解をお聞きします。

(答弁:片桐障害福祉部長)

   常時介護を必要とする障害者の重度訪問介護サービスについては、各障害福祉課支援区分の基準時間を著しく超えて決定する場合、専門家で構成する認定審査会で意見を聞くこととしております。

年2回の審査会での意見を踏まえ、各総合支所で支給決定を行なっておりますが、24時間の支給決定をした件数は、令和2年10月現在、世田谷地域7件、北沢地域3件、玉川地域0件、砧地域2件、烏山地域3件、合計15件となっており、徐々に増加している状況です。

 

2.災害時の移動支援のあり方について

 

昨年10月の台風19号の水害による甚大な被害により、災害は予想不可能であり、災害への備えは緊急課題であることを改めて認識しました。例えば、障害者や高齢者のために福祉避難所の増設が求められていますが、一方で、障害者や高齢者はどうやって避難所にたどり着くことが出来るのか?移動手段が課題です。

 昨年の水害時には、高齢者や障害者が嵐の中、自力で避難所へ行ったという例も聞いていますが、玉川地域ではタクシー会社との協定が締結されていて、災害時の移動支援体制が出来ているはずです。しかし、そのしくみは十分に活用されませんでした。災害が起きた時に、どのような方法で避難所へ移動することが出来るのか、日頃から移動プランについて当事者が認識していることが大切です。そのために、障害者や高齢者などの災害時の移動支援を明確にした個別支援計画を策定することが必要です。災害への備えは待ったなしの状況です。

(質問)移動支援を円滑に行なうためにも個別支援計画の早急な策定を求めます。見解をお聞きします。

(答弁:有馬保健福祉政策部次長)

    区の避難行動要支援者避難支援プランでは、避難行動要支援者に対する災害発生直後の初動期からの支援を円滑に実施するため、区が要支援者のうち、同意を得た方の名簿を作成し、協定締結のもと各町会・自治会に提供し、地域での助け合い活動が推進できるよう目指しております。

各総合支所において、町会・自治会に対して、避難行動要支援者との平時からの顔合わせや個別支援計画の作成などについて案内しており、個別支援計画を策定しているケースもございますが、全ての町会・自治会で作成している状況ではございません。避難行動要支援者ご自身のため、また、支援者の方にとってもあらかじめ支援計画が作成されていることは、避難の際の迅速な支援や行動につながるものと認識しております。

災害時の安全を確保するためには、要支援者ひとりひとりの実態等を踏まえた個別支援計画の作成を移動支援の方策も含めて早急に具体化を検討していく必要がございます。9月には、町会・自治会に対し現在の活動内容や協力体制などについてアンケートを行ない、現状把握を改めて実施し、その取りまとめを今年度中に行ないます。各地域により異なる特徴を踏まえた支援策について、庁内関係所管による検討部会において、引き続き検討して参ります。

 

また、災害発生時には環7などは交通規制がかかり一般車両は通行できなくなります。交通規制は一律ではなく、警視庁に「緊急通行車両事前届出」が受理されれば、災害時の交通規制から除外されます。この申請には、区と協定締結が必要です。

(質問)障害者など移動困難者への災害時の移動手段の確保のために、区内の移動サービス団体と早急な協定締結を求めます。区の見解をお聞きします。

(答弁:片桐障害副支部長)

    災害時における障害者や高齢者などの移動困難者の移送の手段の確保については重要であり、災害時に円滑に移送を行なうためには、福祉車両の運行事業者との協定は有効であると認識しています。

福祉車両運行事業者からは、協定締結のご提案をいただいており、区は事業者への災害時の移送に関するアンケート調査や世田谷区福祉移動支援センター連絡会に参加して事業者との意見交換などを行なって参りました。

現在協定の締結に向けて、関係所管との調整や補償等の諸条件、対象の事業者の整理等を行ないながら協定案の作成に取り組んでいるところです。

区といたしましては、事業者に協定案をお示ししながら、協定締結に向けた条件や課題、スケジュールを共有し、締結にむけてスピード感を持って取り組んでまいります。

 

3.世田谷区教育ビジョン・行動計画等の改定に向けて

 

2022年に世田谷区教育ビジョン第2期行動計画を含めいくつかの計画が改定の時期を迎えます。この改定は、教育環境を取り巻く変化や新たな方針などを位置付ける、良いチャンスと考えます。

区は、子どもの頃から障害があるかないかで分ける分離教育ではなく、同じ教室で一緒に学ぶインクルーシブ教育をめざすと明言しています。今後、改定される計画では、特別支援教育の推進という視点からインクルーシブ教育の推進へと転換し、さらに関連計画にも位置付けることにより、障害があってもなくても世田谷の子どもは一緒に学び育つ教育を実現することに期待します。

また、会派の代表質問では、教育の構造改革について触れましたが、実際、コロナの影響によって教育現場の変化が否応なしに求められています。例えば、ICT教育の推進では、オンラインによる授業の要請が強まり、学校現場では取り組まざるを得なくなりました。また、分散登校をすることによって少人数による学級運営が行なわれるなど、意図しないものではあったかもしれませんが、教育現場では今まで通りでは経験できなかったことを多く経験しました。そのことによって変化もありました。例えば、オンライン授業や分散登校などによって不登校の子どもが授業に参加し、実際に登校しています。これは世田谷区に限ったことではなく、他自治体でも同じようなことが起きています。ではこのような変化があったのは何故なのか?分析し改定に活かすことも重要です。

(質問)各計画改定にどのような姿勢で臨むのか、これまでの議論も踏まえ何を重要ポイントとするのかが問われます。区の見解をお聞きします。

(答弁:浅野教育総務部長)

    第2次世田谷区教育ビジョン・第2期行動計画等は、令和4年度から2年間を計画期間とする、調整計画の改定に向けて検討を始めたところです。

改定にあたっては、PTAや学校運営委員をはじめとする学校関係者など、          

保護者や地域の方々の意見を伺うとともに、パブリックコメントやホ ームページの活用等により、幅広く、区民意見を取り入れながら進めて参ります。

調整計画では、コロナ禍などによる変化への対応という観点も踏まえたうえで、ICTを活用した新しい学びの実現、全ての子どもたちの個を重視したインクルーシブ教育の推進や、不登校等への取り組みの充実など、より一層の教育施策の推進を図ってまいります。

また、計画策定にあたっては、「教育の情報化推進計画・調整計画」や「世田谷区特別支援教育推進計画」、「世田谷区不登校対策アクションプラン」等との整合性を取りながら進めて参ります。

今後、子ども・若者部等庁内の関連所管と連携をとり、新たな時代を見据えた、豊かな人間性と生きる力の育成に向けて、取り組んでまいります。

 

以上で壇上からの質問を終わります。

 

(自席からの意見)

 砧総合支所の件に関しては、副区長から丁寧そして心を込めた答弁をいただいたと思っています。ここからが始まりだと私は思います。各地域の保健福祉課がどのような思いで障害者の方と障害者の生活を作っていくのか、支援していくのか、そして一緒に支援団体と連携していくのか、そこのところでどうも少し違った動きになっているんではないかと思っています。そこからスタートして改善していただければと思います。そして、これから指針に当たるものを作っていくと思いますけれども、そこには地域で活動している方々や当事者の方にもしっかりと関わっていただいて、この指針を一つ作ったら大丈夫というものを作っていただきたいと思います。徹底を求めて質問を終わります。


 

以上