2020年第3回定例会一般質問(9月16日)

  1. コロナ禍による学校への影響について

  1. 教員の多忙化の解消

新型コロナウイルス感染防止として政府の要請により3月から学校が一斉休校となりました。急なことだったため、休校中の対応には課題も多く、学校再開後は学習の遅れへの対応など、これまでの学校運営とは全く違う環境での教育活動は、子どもだけではなく、教職員にも大きな負担となりました。あるNPOの調査によると、学校再開後、通常業務以外に感染予防の業務、例えば消毒作業が負担と感じている教員は65%、校内の時間外勤務は月45時間以上と答えた教員は62%、また、自宅への持ち帰り仕事が週20時間以上になる教員は56%、でした。この勤務状況は、月にすると80時間以上時間外で働いていることになり、過労死ラインを超えています。

昨年10月に、世田谷区教育委員会は教員の働き方についてアンケートを実施し、今年度から多忙化解消に本格的に取り組むはずでした。ところが、コロナの影響で感染防止のための除菌など新たな多忙化の要因が生じています。大変負担となっている除菌作業などを教員以外が行うなど、すぐに教員の多忙化の解消に取り組むべきです。見解をお聞きします。

 

〈答弁:教育政策部長〉

コロナ禍においては、児童や生徒の健康面への配慮や、教室の換気、オンラインでの学習など、教員への様々な負担が増加しているものと考えております。

教育委員会では昨年に実施した教員へのアンケート調査において、多忙感を解消するために意見の多かった、スクール・サポート・スタッフを配置したほか、留守番電話の早期導入に向け準備を進めているところです。

また、コロナ禍での学校支援のため、サポートするために、スクール・サポート・スタッフや学習指導サポーターを追加配置することを計画しております。

教員の実働時間の把握とその分析などを通じて、引き続き教員の働き方改革に取り組んでまいります。

 

 2. 教員の健康問題

世田谷区で導入するPCR検査の社会的検査を評価し期待しています。対象はどうしても人との接触が避けられない職種、また、高齢者などもしも感染した場合に病状が重篤化しやすくリスクが高い方への対応策として、対象が絞られました。教職員も社会的検査の対象となるべき職種であると考えます。不安を抱えながら長時間の勤務を続ける教職員の心と体の健康維持については、労働者に対する安全配慮義務として世田谷区に責任があると考えます。見解をお聞きします。

 

〈答弁:教育政策部長〉

日々、多くの児童・生徒と接する教職員は、新型コロナウイルス感染症に関し、検温等の健康管理や手洗い・咳エチケットの徹底を含め、特段の注意を払って教育活動に従事しております。

教育委員会では、新型コロナウイルス感染症への備えの一環として、教職員への公費によるマスクの支給、基礎疾患のある教職員や妊娠中の教職員への配慮の指示、時差通勤、新型コロナウイルス感染症予防に関する情報提供などに取り組んでいるところです。また、産業医等による心の健康相談等メンタル面への対応も引き続き行ってまいります。

なお、区で実施が検討されている社会的検査につきましては、教育委員会として、必要に応じて関係所管と協力・連携の体制を構築してまいります。

 3. 子どもの心のケアをどのように取り組むのか

学校休校、外出自粛、経済的な不安などから、子どもの虐待の増加が懸念されました。実際、世田谷区でも虐待の通告・相談などは増加しています。NPOの教員調査では、いじめが増加するのではないか89%、不登校の増加の懸念77%と多くの教員が子どもの状況を心配していることがわかりました。成育医療センターの子ども調査では、イライラする、集中できないと答えた子どもが小・中学生それぞれ30%以上で、多くの子どもがストレスを抱えていることが明らかになっています。学校現場では、行事の中止や縮小などから、喪失感、グリーフを抱えている子どもも少なくないはずです。教育委員会は子どもの心の状況をどのように把握しているのでしょうか。不登校の背景などを把握するなど、子どもの心の健康を保つために何が必要と考え取り組むのか、お聞きします。

 

〈答弁:教育政策部長〉

楽しみにしていた学校行事が中止や延期になったことに落胆したり、新型コロナウイルスに起因するいじめを心配したりするなど、多くの子どもたちが不安や懸念を抱えているものと考えております。

教育委員会では全ての児童・生徒に、どんな小さなことでも、身近にいる信頼できる大人や外部相談機関等に相談してほしいことを伝えるとともに、「相談窓口一覧」を配布し、連絡先を周知しております。

また、教員には子どもから様々な相談が寄せられていますが、一人の教員が抱えてしまわないように、組織的に子どもの変化をみとるよう、学校には指導をしております。

教育委員会では、引き続きいじめや不登校の状況なども注視するとともに、児童・生徒および学校をサポートしてまいります。

 2. インクルーシブ教育の実現に向けて

  1. 就学相談、就学通知、就学支援委員会のあり方について

世田谷区は真のインクルーシブ教育をめざすと、区長も教育長も明言しています。インクルーシブ教育は、障害のある子どものための教育ではなく、障害のあるなしにかかわらず全ての子どものための教育です。社会全体がめざす「共生社会の実現」は、共に学び、共に生きる、ことから始まります。

今年度から、就学時健診の案内には、「世田谷区は地域とともに子どもを育てる」という考え方に基づき、「住所ごとに指定された通学区域の小学校」指定校が就学先だとはっきりと明記されました。これは前進であり、この改善を評価します。

一方で、特別支援学級などを望む保護者が増えているとも聞きます。なぜ、増えているのか?と聞くと、障害がある子どもが増えているから、という答えが返ってきます。しかし、仮に増えているとしても、なぜ普通学級を望まないのか?普通学級がインクルーシブな環境ではないからではないでしょうか。

インクルーシブ教育を進めるためにできることはたくさんあります。今回はその中から3つ、改善をすべき点をあげます。

 

1つは、就学相談のあり方です。就学時健診の案内を見ると、現在の就学相談は「特別支援教育を希望する方への相談」のようになっています。インクルーシブ教育の実現をめざすならば、就学相談は、地域の学校に通うための相談であるべきです。指定校に通うためにはどのような合理的配慮が必要なのかを相談する場とすることが望まれます。しかし、現在の就学相談は、普通学級か特別支援学級か、と分けるための相談になっているようです。実際、保護者からは「選別されているように感じる」という声が上がっています。分離前提の相談から脱することが必要です。

 

もう1つが、就学支援委員会です。就学相談を受け、就学先を決める時に大きな影響力を持っているのは、就学支援委員会です。この委員会の姿勢が、インクルーシブ教育の実現にあるのか、それとも分離する特別支援教育にあるのかによって出される意見が変わるのではないでしょうか。就学支援委員会では、お子さんに対して「特別支援学級適」などの意見が出されますが、その際、例えば当事者であるお子さんの様子を直接に見ることはない、あるいは区の職員などが見ることがあっても15分程度で、子どもの入学先について公的な意見が出されます。今後、世田谷区が真のインクルーシブ教育をめざすならば、就学支援委員会について見直す時が来ているのではないでしょうか。

 

3つ目は、就学通知についてです。1月中旬ごろから発送される就学通知ですが、2月末になっても通知が届かず不安を抱える保護者、お子さんがいらっしゃいます。どうしてこのようなことが起こるのでしょうか。就学通知の発送を引き延ばすことなく速やかに送付することが必要です。

 

以上3点、教育委員会の見解をお聞きします。

 

〈答弁:教育政策部長〉

・就学相談・就学支援委員会について

教育委員会では、インクルーシブ教育の考え方を踏まえ、障害のあるお子さんの就学方法について、医学・心理・教育の専門職で構成する世田谷区就学支援委員会を設置しており、保護者の方の承諾を得て、保育園や幼稚園、利用されていた支援機関などからも情報収集を行うなど、多様な視点から検討を行っております。

就学相談において、就学支援委員会の検討結果を保護者の方にお伝えしておりますが、保護者の方の中にはその結果に動揺される方もあり、就学支援委員会の意見が強制的なものや最終的なものではないことを丁寧にお伝えするよう努めております。

就学相談は、どのような条件や支援があれば、お子さんの成長や発達の可能性を高めることができるのかという視点から、お子さんの就学先について保護者の方と教育委員会とで相談を重ねる場であると考えており、保護者の方の思いに傾聴し、保護者の方がご自身の思いを安心してお伝えいただけるよう、その充実に取り組んでまいります。

 

・就学通知のあり方について

〈答弁:教育総務部長〉

就学通知書につきましては、区では法令に基づき、入学する年の1月に対象の家庭へお送りしております。なお、特別支援学校に就学する予定の方については、東京都教育委員会より就学通知書をお送りすることとなっております。

その中で、特別支援学校への就学か、区立学校への就学かが決定していない場合等においては、通知がその他の方よりも遅くなるようなケースもあるものと思われます。

就学先が決まらないことにより不安となることがないよう、地域の指定校をお知らせするなどの対応を検討してまいります。

なお、指定校の周知ですが、区では、地域で子どもを育てるという考え方に基づき、通学区域制を採用しており、就学前にすべての方に指定校をわかりやすくお知らせすることは大切であると考えております。

このことから、9月に発送する就学時健診の通知において、就学先は原則として、地域の指定校であることを明記し、周知に努めております。

 

  1. 合理的配慮のあり方

地域の学校に通う障害のある子どもに対する支援として、支援員の配置があります。ケースによっては保護者の付き添いと支援員の二人の大人に囲まれる状況を生じさせます。このことが、子ども同士のやりとりを阻害することもあり、支援員の配置やあり方には配慮が必要です。現場での対応についてお聞きします。

 

〈答弁:教育政策部長〉

子どもたちの個性や特性を尊重し、一人一人に寄り添い、個別最適化された多様な学びの場を提供することは重要なことと考えインクルーシブ教育に取り組んでいます。

教育委員会といたしましては、医療的配慮を要する児童・生徒の学校教育活動に対して保護者の付き添いを認めたり、学校生活サポーターを配置したりと、個々の状況に応じた健康面、安全面、基礎的学習支援の対応を進めております。

一方、子ども同士の交流や学び合いの場も必要であると考えますので、支援する場面を見極めながら、子ども同士の交流や共同学習が活発に行われるよう、一人一人の特性に応じたサポートを行ってまいります。

 

3.公契約条例の推進と建設産業の活性化について

  1. 公契約条例の実効性の向上

コロナの影響は、地域の産業にも及んでいます。建設産業では大手ゼネコンが現場を閉鎖する事態になり、住宅関連資材などの入荷の目処が立たずに工事が中止になるなど、深刻な影響を受けています。世田谷区は建設業を産業として位置付け、会派の代表質問でも取り上げましたが、キャリアアップシステムの推進への支援など取り組みは進みつつあります。さらに、公契約条例を制定する立役者であった建設業者が条例制定の恩恵を感じていないことをとらえ、今後公契約条例の実効性をどう高めるのかが課題となります。公契約条例の肝の1つは、労働報酬下減額を定め、働いている人の賃金を上げることです。しかし、建設業は設計労務単価の85%に定められていますが、実際の賃金はそれ以下の場合もあると聞いています。例えば昨年行った現場調査では、建設現場で働く警備員の日給は8000円と最低賃金以下で働いている実態も聞いています。新庁舎建設など今後公契約案件も増加します。公契約条例の実効性を高める取り組みをどのように行う考えか、区の見解をお聞きします。

 

〈答弁:財務部長〉

公契約における従事者の社会保険への加入や労働報酬下限額など、労働環境については、契約時に事業者に労働条件確認帳票、いわゆるチェックシートを提出いただき、その内容を各事業所管課が確認することとし、全庁で取り組んでおります。

区ではこの他、社会保険労務士が事業所を訪問して公契約に係る労働条件等の実態調査を行うことや、工事現場へポスターを掲示し、従事者に労働報酬下限額を周知するなど、実効性の確保に向けた取り組みに努めてまいりました。

さらに、今年度は、労働報酬下限額対象の事業者に公契約条例に関するアンケート調査を実施し、工事請負契約の労働報酬下限額について、下請け労働者への支払い状況の把握、賃金を引き上げた従事者の割合などの実態や影響を伺いました。

調査結果は公契約適正化委員会に報告し、議論にご活用いただいており、新たな取り組みと労働者向けに配布する労働報酬下限額の周知カードの作成などのご意見が交わされているところです。ご質問の公契約条例の実効性の確保という点ではまだ十分とは考えておりませんので、引き続き、公契約条例適正化委員会の意見も尊重しながら、さらに取り組みを進めてまいります。

 

  1. 小規模工事契約登録制度について

建設業者には小規模な零細企業も多いですが、そこへの支援は区内の経済循環を生み出すはずです。例えば、目黒区では競争入札参加資格を持たない小規模事業者の受注機会を拡大するための簡易登録制度を行なっています。このような制度を活用した小規模な区内の建設業者への支援の拡充を求めます。見解をお聞きします。

 

〈答弁:財務部長〉

小規模事業者登録制度は入札参加資格のない中小事業者を登録し、自治体が発注する小規模な工事や修繕などに受注機会を拡大する制度で、23区の中でも導入している区があると認識しております。

当区におきましては、公共工事は原則として競争入札により区の優先業種区分登録のある事業者に発注しておりますが、各所管課で発注する小規模な工事や修繕は、区に相手方登録のある事業者から地域要件などを考慮し、見積り合わせにて依頼しております。

公共工事の発注は地域経済を活性化させ、地域の事業者を下支えする側面も持ち合わせていることから、地域経済の現況を踏まえて、小規模工事発注に当たっても区内事業者に積極的に依頼するよう、改めて庁内に周知してまいります。

 

(ここまで壇上での質問&答弁)

【再質問:桜井】

インクルーシブ教育について今回、就学相談、就学通知、就学支援委員会の3点を質問しましたが、これはバラバラなものではなく、こういったことがインクルーシブ教育を受けていく子どもたちの実践になっていくということです。ということは、世田谷区がめざしていく真のインクルーシブ教育を進めていくのだという共通した認識がなくては進んでいかない。区長や教育長がいくら真のインクルーシブ教育をめざすと言っても現場がそこについていかないという状況になっています。ですので、今回、細かいことでしたが1つ1つ状況を聞きました。就学相談の中ではどのような条件や支援があればお子さんの成長や発達を高めることができるのかということをおっしゃいましたが、それはいろいろな解釈があり、特別支援教育ということに結びついていってしまうのか、そうでなくて、インクルーシブ教育ということを基盤として考えていこうとしているのか、大変重要です。その点について、もう一度お考えをお聞きします。

 

〈答弁:教育政策部長〉

教育委員会では、地域の学校を指定校としております。就学相談において、保護者の方が地域の学校へ就学を選択された場合においては、地域の学校でお子さんの成長や発達につながる、どのような支援が可能かという視点で保護者の方との相談を重ねており、引き続き、インクルーシブ教育の考え方を踏まえ、丁寧に対応してまいります。

 

桜井:これからさらに掘り下げていきたいと思います。続きは決算特別委員会の方でやらせていただきます。 

以上